聞こえてますか?アーカイブ 2018年4月12日木曜日 渋谷JZブラット ザ・ヒットパレーズLIVE記念♪ 【Jazz drummer】2

聞こえてますか?
昨日の続き…。
あの頃の僕は、二十五歳。
このメジャーの世界に
飛び込んだばかりの
新人でありました。

2017年 東京目黒。
十数年振りにおこなった
僕の単独Liveに
彼の姿はありました。
観終わった彼は、
自身のビッグバンド
「ザ・ヒットパレーズ」の
ゲストとして歌わないか?と
声をかけてくれました。
興奮を隠しきれません。
何より彼ともう一度
同じステージに立てることを
嬉しく思うのでした。

「おもろいな〜」
歌舞伎町時代の仲間
関西弁の元バンマス
(Band master)も
加わり打ち上げの席に
花が咲きます。
それはもうあの日の
同窓会のようでありました。
Jazz drummerとの出会いも
その陽気な関西弁のバンマスが
居たからに他なりません。
「やっぱり音楽はええなぁ〜」
異なる職種で生業を得ている
元バンマスの言葉は、
懐かしさと何処か遠い憧れの
ようなものを滲ませていました。

Live打ち上げならぬ
歌舞伎町時代の同窓会は、
明け方まで続きます。
やはりBandmanは、
どこまで行っても「酒」で
ありました。

2017年 10月2日。
Bandmasterでもある彼の
「ザ・ヒットパレーズ」は
昭和の名曲を演奏する
ビッグバンドであり
表現するそれは、
素晴らしいものでした。
笠置シヅ子の♪東京ブギウギ
渋谷の夜を彩る♪虹色の湖
僕の世代でも馴染みの深い
♪銀河鉄道999
何れも此れも日本を代表する
楽曲の数々でありました…続く。

ザ・ヒットパレーズに感謝して
また、明日。

聞こえてますか?アーカイブ 2018年4月12日木曜日 渋谷JZブラット LIVE記念♪ 「ザ・ヒットパレーズ」 【Jazz drummer】Ⅰ

 

聞こえてますか?
「先に行っているから
後で来いよ」彼はそう言って
メジャーの世界に行きました。

新宿CLUBのバンドマンとして
共に働いていた彼は、
音楽の先輩であり
歌手として駆け出しだった
僕を見守る兄のような
存在でもありました。
情熱的で繊細さを持ち合わせた
彼のdramは、
歌舞伎町の地下にあった
CLUBサブリナを魅了します。
お店の事情で制限された
音のボリューム。
だけれど、
彼が繰り出す音の数々を
抑えつけることなど出来ません。
ひとの心を揺さぶる音色は、
どんな場所であれFree!
なのでした。

彼のメジャーデビューのお祝いで
送り出した歌舞伎町での宴。
寂しさを感じつつも
早くその背中に続きたい…。
そう強く心に誓ったのでした。

それから暫くして
僕も彼と同じ世界で
再会を果たすことになります。
その歌舞伎町の時代から
四年後のことでした…。

1996年 新潟。
♪Lovin’youの楽曲で知られる
横山輝一。
そのツアーメンバーとして
同行していたのが彼でした。
音楽イベントその打ち上げ会場で
僕たちは、再会を果たします。
やっと来たか!と言わんばかりに
彼は喜んでくれました。
会っていない月日など
僕たちには
関係のないことでした。
まだ音楽を続けている。
それだけで充分でありました。

新潟の夜は、
あの日、門出を祝った
歌舞伎町のそれに似ていました。
明け方まで飲み明かしたことを
昨日のことのように
覚えています。

あの頃の僕は、二十五歳。
このメジャーの世界に飛び込んだばかりの
新人でありました…続く。

歌舞伎町に感謝して
また、明日。

畦道とハイヒール 総集編 last 「金髪丸坊主」episode13

聞こえてますか?
昨日の続き…。
順応する天才。
その食に対する飽くなき
探究心だけは、
なんちゃって
漁師の女房の名に恥じぬ
ものでありました。

そんなあなたにもこの戸馳島で
お友達が出来ました。
家族ぐるみの付き合いで
よく宴を開き
家庭用カラオケを
愉しんでいました。
十八番は、銀座の恋の物語。
石原裕次郎と牧村旬子の
二人で歌うそれは、
映画にもなり現在でも
カラオケの定番の
デュエット曲として
愛唱されています。

あなたたちは、見つめ合い
ハモりながら喉を
鳴らしています。
見ているこっちが
恥ずかしくなってしまいます。
けっして上手では
なかったけれど
その歌声は、
飲み会を盛り上げるに
充分なものでした。
何より島の人たちは、
歌が大好きでした。
でも僕は知っています。
「上手なカラオケQ&A」
なる本を読んでいたことを。
あなたなりに
頑張っていたのですね。

最初 戸惑っていた島での暮らし。
日に日に馴染んでゆくあなたを
見るのが好きでした。
誰よりも僕が
嬉しく思っていた事を
あなたは知っていましたか?
メイクも薄く ファッションも
派手でなくなりました。
その代わり髪型だけは、
攻めていましたね!
「金髪丸坊主」
やっぱり、風にはなびきません。
今でこそ珍しくない
そのヘアースタイル。
だけれど、あの当時
そんな髪型にする女性を
僕は知りません。
まるで、生まれたての
お猿さんのように
見えたものです。
流石の父も首を傾げるばかり…。
あなたは、どこまでいっても
あなたでした。

2017年夏。
嫌だったはずの赤いハイヒール。
風になびくことのない
金色の髪の毛。
なんだか愛おしく
素敵に思えてしまいます。

【回想】
天草の玄関口
三角港から渡し舟でゆく島。
みかん畑が連なる山々と
北に広がる有明海。
南には、不知火海を臨む
その島のことを人々は
戸馳島と呼んでいます。
そこに住む人たちは、
長閑な自然と寄り添い
暮らしていました。
そんな島の景観に
逆向するかの如く
船着場までの畦道を
颯爽と闊歩する
ひとりの女性がいました…。

東京の遥か向こう側。
あなたが眠る九州の地を想い
今日もまた、
西の空を見上げています…幕。

真っ赤なハイヒールを履いた
あなたに感謝して
また、明日。

聞こえてますか?アーカイブ 畦道のハイヒール総集編 7 「追憶」episode12

聞こえてますか?
昨日の続き…。
去来する堂々巡りの感情は、
後悔と云う大きな波となって
押し寄せて来ます。
それでも僕は、抗い 溺れながらも
却ってくる筈のない
答えのようなものを
今も探しています。

あなたにまつわるエトセトラ。
仲が良かった四姉妹。
家族みんなで行った
海水浴での一齣…。
何故かあなたはカレーを
拵えて海に出向いたそうですね。
きっと張り切ったんでしよう。
タッパーにまとめたそれを
皆に振る舞います。
だけれど
それを食べた者たちは、
軒並みお腹を
壊していったそうですね。
夏の日射しと温度を
読み間違えたあなた。
海水浴も台無しです。
以前 日記にも触れた
我が家のカレーが缶詰だった
こともこれで頷けます。

こんなこともありました。
島での暮らしも
板につき始めた頃。
僕も二桁の年齢に
達していました。
漁に出た父を待ち岸壁に
佇むあなた。
一見美しい光景に見えるけれど
本当に待っていたのは、
父ではありませんでしたね。
彼が獲ってくる渡り蟹が、
お目当てでありました。
湯がくだけのシンプルな
料理方法で食べるそれに
あなたは目がありません。
とくに卵を持つ牝の渡り蟹が
好物でした。
「あたしは、これさえあれば
なぁ〜んもいらん」
【翻訳】
「私は渡り蟹が一番好き」
実に見事な食べっぷり。
綺麗にペロリと平らげます。

順応する天才。
その食に対する飽くなき
探究心だけは、
なんちゃって
漁師の女房の名に恥じぬ
ものでありました…続く。

いつか帰る いつでも会える
時は流れていたのに

君はマーマレード
オレンジ色の想いで
瞳を閉じたらいつも
君に逢える

僕の声をとどけて 君の空
あの風にのせて ありがとう
歌詞マーマレードendingより

家族に感謝して
また、明日。

 

畦道とハイヒール 総集編 6 「駆け落ち」episode11

聞こえてますか?
昨日の続き…。
確かにあなたは、
こうと決めると梃子でも
動かない節があり
怒ると手がつけられない
雷のような
ひとでもありました。

中学生のあなたは、
何を間違えたか
堅気とは縁遠い男と恋に落ち
卒業を待たずして駆け落ちを断行
全国を転々渡り歩く…などと
冗談まじりに話していましたね。

80年代にお茶の間を
席巻した大映ドラマ
赤いシリーズでも扱わない
コッテコテのその逸話も
満更 嘘ではないようです。
おばあちゃん つまりは、
あなたのお母さんがその時のことを語ってくれました。

当時不良だった父を
よく思っていなかったこと。
決死の想いであなたが
プロポーズされたこと。
それでも追われるような形で
熊本の地を離れ知人の伝手を頼り
神奈川県に一時期
身を寄せていたこと。
そんな逃避行のさなか
僕が生まれたことも…。

言われてみれば、
東京の地下鉄を何故か懐かしく
思う事がありました。
トンネルの明かり取りに
設けられた蛍光灯。
車両の一番前で見ていた
疾走する白い光。
おぼろげな遠い記憶…。
若くして身ごもったあなたは、
どんな思いだったのだろう。
夢もあっただろうに…。
ちゃんと話して来なかった。
会える時に 会ってさえすれば…。

去来する堂々巡りの感情は、
後悔と云う大きな波となって
押し寄せて来ます。
それでも僕は、 抗い 溺れながらも
却ってくる筈のない
答えのようなものを
今も探しています…続く。

歩いていこうよ この街を 街を
歩いていこうよ この道を 道を

愛され生を受けた証
生まれてきたのさ
脆く儚い心でも 愛が溢れてる

明日にマケナイデ
強く涙を噛みしめて
辛い時ほど微笑んで
生きていこう この街を
〜明日にマケナイデ1chorusより

産んでくれたことに感謝して
また、明日。

畦道のハイヒール総集編 5 「誕生」episode9

聞こえてますか?
昨日の続き…。
2014年12月。
あなたを失いアルバムを
整理します。
白いパンタロンに
風になびくことのない
金色の髪の毛。
赤いハイヒールを履いた
あなたから少し離れた
五歳の僕を見つけました。

2017年 東京。
あなたを失って三年が
経とうとしています。
若い頃のあなたは、
どんなひとだったのだろう。
青春時代を紐解きます。

since1948〜2014。
世の中は高度経済成長に沸き
男性はリーゼント
女性はロングスカートと云った
ニュールックが流行し
岡晴夫の「憧れのハワイ航路」
笠置シズ子の「東京ブギウギ」
などの歌謡曲がヒットを
飛ばした時代でもありました。

肥後ノ国 八代。
そんな昭和の彩りの中
四姉妹の次女として
稲穂香る収穫の季節に
あなたは誕生しました。
熊本県 第二の都市八代の街は、
日本三大急流のひとつ
球磨川が分流する
三角地帯北部に
位置していました。
豊富な水に恵まれていたことから
い草の生産に栄え、且つ
その水の流れの先には
不知火海があり
太刀魚の漁場としても
名を馳せる立地の良い
港町でもありました。

四姉妹の中でも一番小柄で
控えめな子だったと云うあなた。
だけれど、目には見えない
強靭な個性と頑固さを
持ったひとだったと
あなたの一つ違いの妹
チコちゃんが
語ってくれました。
「姉妹」episode10

聞こえてますか?
こうも続けてくれました。
よくある姉妹ならではの口喧嘩。
電話でちょっとした口論から
はじまったそうでね。
つい姉であることを忘れ
棘のある物言いになってしまった
妹のチコちゃん。
あなたは、 プツンと
切れてしまったそうですね。
「おっとろし~なんねーあんた !
うちは あんたのねーちゃんばい!
そん 口いん 聞き方は 何ねー!
ちぃ~と敬語で喋りなっせ!」
【通訳】
おっとろし~とは、
熊本地方特有の怒った時の口癖
又は威嚇 喧嘩前の
狼煙のようなもの
以下割愛↓
「私はあなたの姉なのよ
その口の聞き方は何なの
もう少し姉を敬いなさい」
そう言い終わった後
凄い剣幕で電話を
叩き切られたそうです。
その時のことを
笑いながら話してくれました。

確かにあなたは、
こうと決めると梃子でも
動かない節があり
怒ると手がつけられない
雷のような
ひとでもありました…続く。

あなたの誕生に感謝して
また、明日。

畦道とハイヒール総集編 4 「願い」episode7

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんな暮らしの中で
どうしても
気になる女性が登場します。
幼稚園の先生でした。

犬の大五郎以外興味を抱かない
僕にとってはじめての
ことでした。
いつも笑顔で優しい先生は、
控え目な物腰に
化粧は派手なものではなく
限りなくナチュラルで
爽やかなひとでした。
何より、
黒髪が風になびいています!

僕にとってそれは、
大切なことでした。
アフロばりのスズメの巣のような
髪型のあなたとは大違いです。
そよ風をものともしない
その金色の髪の毛は
針金のようでとても不自然です。
自然体であることが
何よりもあなたに対する
僕の秘かな「願い」でした。
こんなエピソードが
ありましたね。
園の日帰り旅行で長崎の島原に
行った時のこと…。

「悲しい目」episode8

聞こえてますか?
1975年 雲仙記念撮影会。
楽しい旅の思い出を写真に残す
大切な儀式の筈でした。
観光地として賑わいを見せる
長崎 雲仙普賢岳。
ひな壇に立ち並ぶ
親子と引率の先生たち。
嫌な予感はしていました。
写真は苦手です。
魂が抜かれます。
只でさえ笑顔などは作れません。

そんな我が家の事情なと
知る由も無いカメラマンが、
緊張を解そうとします。
無理もありません。
彼は仕事を
全うしているに過ぎません。
だけれど、
その言葉がトドメを刺しました。
「大好きなお母さんの
手を繋いで」
結果、僕を大胆な行動に
向かわせます。
シャッターを切る寸前のところで
あなたの手を僕は
振り解いてしまいました。
あの時のあなたの「悲しい目」を
今でも覚えています…。

2014年12月。
あなたを失いアルバムを
整理しました。
白いパンタロンに
風になびくことのない
金色の髪の毛。
赤いハイヒールを履いた
あなたから少し離れた
五歳の僕を見つけました…続く。

セピア色の写真に感謝して
また、明日。

畦道とハイヒール 総集編 3 「変わった子ども」episode5

聞こえてますか?
昨日の続き…。
やっぱりあなたは、
この星の人ではないと
そう思い込むことで
その時々を
やり過ごしていました。
1975年の春は、僕の嘘から
はじまるのでした…。

あなたは僕に
「変わった子だね」と
よく言っていましたね。
僕から言わせたら
どっちが!です。
何故、他の人と違うのか?
母親に甘えることが、
当たり前とされた
子どもたちの理りの中で
確かに言われてみれば
僕の方も少し
違っている様でした。
ひらひらの服を着て
手を繋ぐことや
買い物に付き合わされることも
とても窮屈で苦手でした。
何故そうなってしまったのか…。
それは、園にあがる前の
環境に原因が
あるのかも知れません。

共働きの両親のもと
僕は、一日の殆んどを
ひとりで過ごしていました。
考えたあなたは、
僕に犬を宛てがいました。
番犬の意味合いも
あったのでしょう。
ひとりでいる事に慣れ
何よりそれが、
当たり前になっていく僕を
憂ての事だったと
今では思えます。
だけれど、
あの時の僕には
あなたはの想いに応える術を
持ち合わせてはいませんでした。

そんな生活の中で
唯一心を許したのは、
共に過ごしていた
シェパード犬である大五郎。
彼だけが救いでした。
異なる動物同士とはいえ
垣根を越えた関係に
言葉はいりません。
同時に強い安心感を
彼に見出してもいました。

そして僕は、あなたに対し
子供の特権である
「甘え」を放棄し 代わりに
「無言」と云う武器を
手に入れました。
「五歳のあんたが〜」と
思うでしょうね。
だけど、小さくとも
そんな感情が芽生えたのは、
確かにあの時でした…。

「目にはみえないもの」episode6

聞こえてますか?
あの時の感情をどう表現すれば
いいのかわかりません。
だけど、
今こうして振り返ってみると
それは、
園に集う子どもたちと
何ら変わることのない
僕の「甘え方」だったように
思えてなりません。
僕なりに示した
唯一の反抗であって
「目にはみえない」
精一杯の愛情表現…。
ただ、それだけのこと
だったのかも知れません。

そんな園の暮らしの中で
どうしても
気になる女性が登場します。
幼稚園の先生でした…続く。

家族に感謝して
また、明日。

畦道とハイヒール 総集編 2 「ひとの目」episode3

聞こえてますか。
昨日の続き…。
TPOを完全に度外視した
あなたの出で立ちは、
当時 お茶の間を賑わした
地球外生命体
エイリアンに違いないと
子供ながらに疑ったものでした。

1975年 春 今日は入園式。
黄色い肩掛けポーチと
ひらひらの付いたフリルに
青いドット模様の服を着せられて
はじめての幼稚園に向かいます。
島にも保育園という
施設はありました。
だけど、宇土半島にある
その園に預ける事を
あなたは決めました。
それには、
理由があった様ですね。

車の免許を持たない両親。
島民にとって自動車は、
不可欠なものでした。
我が家では舟だけが頼り。
役所の手続きや、日々の生活に
便利な場所を選ぶのは
無理からぬことでした。
そんな家庭の事情も重なり
僕は、他の子供よりは少ない
一年間という
半島での幼稚園生活を
送ることになりました。

そんな親の思いなど
知る由もなく
僕は只々恐れているのでした。
あなたのことです。
入園式では、
きっと張り切るでしよう…。
日に日にエスカレートする
メイク&ファッション。
五歳になったばかりの僕は、
あなたを見る人の目ばかりを
気にしていました。

「嘘」episode4

聞こえてますか?
宇土半島のつま先
三角岳をはじめとした
山々が連なる三角町。
その中のひとつ、
天翔台なる山の裾野に
あなたが決めた
幼稚園がありました。
僕はそこで更に疑念を
深めてしまいます。
皆一様に手を繋いだ
園児たちがやって来ます。
だけれど、僕の興味は目下
その手を引く保護者の方で
ありました。
何故ならそこへ来る女性は、
僕が思い描くお母さん像そのもの
だったからです。

そして僕は、
あなたを見上げるのです。
いつにもまして
顔が光っています。
金と銀の折り紙を散りばめた
ようなそのキラキラは、
「どこの壁に
ぶつけたのですか?」と
聞きたくなるくらいであります。
港町の春の日差しを
甘く見てはなりません。
照り返しがきついのです。
チカチカしてシュパシュパ
しております。
あなたは、そこでも
完全に浮いていましたね…。

「あれ、誰のお母さん?」
半島に住む見知らぬ子供が
僕に尋ねました…「知らん」。
僕は、直ぐに
バレる嘘をつきました。
人と違うということに少なからず
抵抗を感じていたのです。

やっぱりあなたは、
この星の人ではないと
そう思い込むことでその時々を
やり過ごしていました。
1975年の春は、僕の嘘から
はじまるのでした…続く。

遠き日に感謝して
また、明日。

聞こえてますか?アーカイブ 畦道とハイヒール 総集編 1 「宇宙人」episode1

聞こえてますか?
あなたは、
まるで宇宙人のような人でした…。
1975年 肥後ノ国
天草の玄関口
三角港から渡し舟でゆく島。
みかん畑が連なる山々と
北に広がる有明海。
南には、不知火海を臨む
その島のことを人々は
戸馳島と呼んでいます。
そこに住む人たちは、
長閑な自然と寄り添い
暮らしていました。
そんな島の景観に
逆向するかの如く
舟着場までの畦道を
颯爽と闊歩する
ひとりの女性がいました。

今にも折れそうな
真っ赤なハイヒールの靴を
履いたあなたは、
今日も僕の手を引きながら
買い物へ出掛けます。
顔の三倍はあろうか
アフロばりの
そのくるくるパーマは、
「スズメの巣ですか?」
と言いたくなる代物で、
決して風になびくことのない
その金色の髪の毛は
乾いた紙粘土のようでも
ありました…。

「告白」episode2

聞こえてますか?
シルビヴィ・バルタンを
好んで聴いていたあなたは、
なんちゃってパリジェンヌ。
メイクひとつにしても
丹念に仕上げます。
何処を真似て何を間違ったのか
何もそこまでしなくても!
と云うくらい塗り重ねた
白いキャンパスに
あなたは、
ルージュを引きました。
まるで、まんが日本昔ばなし
に登場する
お公家さまのようです。
幼い頃の僕は、
そんなあなたが少しいやでした…。
島の住民にそのような
風変わりな女性は、
ひとりもいませんでした。

TPOを完全に度外視した
あなたの出で立ちは、
当時 お茶の間を賑わした
地球外生命体
エイリアンに違いないと
子供ながらに
疑ったものでした…続く。

二十六歳のあなたに感謝して
また、明日。