有明の風

聞こえてますか?

僕が育った有明海は、

毎年の台風を避けては

通れない海でした。

風が吹くと父は、

海を見に行きました。

時化た海上の船が

心配だからです。

暴風雨ともなれば

陸(おか)に船を上げて

備えます。

台風一過、

父は決まって

船底の掃除を

命じます。

大切な休日も

台無しです。

風の行方が

肝心な投網では、

その野生的な眼力で

魚の群れを捉えます。

櫓を漕ぐ僕は、

風が読めずに

しくじります。

風の日に

僕が備えていたのは、

潮の流れと

父の命令でした。

有明の風に感謝して

また、明日。

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