男女7人高円寺(全10ノ8話)

聞こえてますか?
昨日の続き…。
でも、いつの頃からか
彼は高円寺の集まりに
顔を出さなくなって
しまいました。

心配した僕たちは、
当時 固定式だった留守番電話
機能にメッセージを残す
のですが、次第に返事も
なくなりました。
上京して三年が経とうと
していました。
そんな中 一度サシで
呑む機会が訪れました。
彼が住む街は、京王電鉄で
三っ目の駅にありました。
新宿から一里の距離にあたり
甲州街道の両脇に塚があり
笹に覆われたことから
笹塚と呼ばれた街。
美味しい焼き鳥屋が駅前に
あると云うので
僕らは、久しぶりに
そのお店で向き合うことに
なりました。

何気なく尋ねてみます。
「顔 出さんね〜」
沈黙のあと 彼が答えます。
「思うことがあってね」
更に言葉を続けてくれました。
東京での生活と
これからを模索し
その中でのプレッシャーに
押し潰されそうな
彼を知りました。
それと同時に同級生と云う
枠にいつ迄も甘えられない…。
そんな気心の知れた集まりに
距離を感じている
ようでもありました。
陽気に振る舞っていても
人一倍考え
深く悩んでいました。
僕は、何もわかって
いませんでした。
学生気分が抜け切れていない
自分自身を思い知らされ
僕は、言葉を失くします。
会話もそこから先が
続きません。
美味しいと評判の焼き鳥も
すっかり冷えて
しまっていました。

それから暫くして
行きつけの高円寺の
カラオケ店も閉店し
四年の節目 卒業と共に
僕たち男女7人の集まりも
終わりを迎えるのでした…。

彼の言葉に感謝して
また、明日。

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