畦道とハイヒール 「嘘」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
五歳になった僕は、
あなたを見る
「ひとの目」ばかりを
気にしていました。

宇土半島のつま先。
三角岳をはじめとした
山々が連なる三角町。
天翔台なる山の裾野に
その幼稚園はありました。

僕はそこで更に
疑念を深めてしまいます。
皆一様に手を繋いだ
園児たちがやって来ます。
でも僕の興味は、
目下その手を引く
保護者の方でした。
そこへ来る人達は、
思い描くお母さん
そのものでした。
そして僕は、
あなたを見上げるのです。
いつにもまして
顔が光っています。
金と銀の折り紙を
散りばめたような
そのキラキラは
どこの壁にぶつけたの?
と聞きたくなるくらいです。
港町の春の日差しを
甘く見てはなりません。
照り返しが強いのです。
チカチカします。
目に毒なんです。
あなたは、そこでも
完全に浮いていましたね…。

「あれ 誰れのお母さん?」
半島に住む街の園児が
興味津々な面持ちで
尋ねて来ます。
「知らん」
僕は、直ぐにバレる嘘を
ついてしまいました。

人と違うことに
少なからず
抵抗を感じていました。
やっぱりあなたは、
この星のひとではないと
そう思い込むことで
その場を
やり過ごしていました。
1975年の春は
僕の嘘からはじまる
のでした…続く。

三角町に感謝して
また、明日。

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