厚木のトラック野郎 全11話その3 「居候」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
仕事終わりの帰り道は、
束の間のひと時と
爽やかな気持ちを
もたらしてくれる
大切なものでした。

小倉橋を渡り
小高い丘を目指して
螺旋状の坂道を
のノ字を描くように
登ります。
木漏れ日の森を抜けて
しばらく進めば、
我が家ならぬ
居候先に到着です。
朝の早い一番星は、
もう既に
仕事に出掛けていました。
長旅を終えた
ポンコツワーゲンは、
エンジンを切ってもまだ
唸っていました。

いつものように僕は、
コーポの脇にある
二階建ての階段を登り
合鍵を使い部屋へ入ります。
潔癖の一番星。
出かける時とは
打って変わり
全てが整頓されています。
昨夜ざっくりと
折り曲げた僕の布団も
綺麗に畳んでありました。
電化製品のリモコンにも
ラップを巻く念の入れようで
サイズも位置もあらかじめ
決められてありました。
「こっじゃ~嫁さんのこんぞ…」
翻訳
(これじゃ嫁さんの来てがないよ)
などと
居候の分際でありながら
心配をしてしまいます。
だけれどそれは、
いっ時のことで
次の瞬間には、
そんな事などコロッと忘れ
着ていたものを脱ぎ散らかし
そそくさと風呂に入るのでした。

風呂付きのアパートに
住んだことがなく
僕にとっては、
至福の時であります。
そして桶の中で
歯磨き開始です。
序でに頭も洗います。
合理的 且つ 省エネなのです。
一番星が怒る所以でありました。
大丈夫です。
夕方18時まで戻りません。
バスタオルを腰に巻きつけて
濡れたままの足で
冷蔵庫のビールに
手をのばします。
大丈夫です。
濡れた床と身体は、
自然に乾いてしまいます。

そんな風にゆっくりと
なんとなくおっとりと
僕の時間は、
流れてゆきました。
軽くつまみながら2本目の
ビールを飲み終えるころに
テレビから笑っていいともの
オープン二ングの歌が
聴こえてきました。
それから僕は、
昨夜の疲れを思い出すように
うつらうつらと
眠りにつくのでした…続く。

お風呂に感謝して
また、明日。

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