厚木のトラック野郎 全11その4 「器用な男」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
それから僕は、
昨夜の仕事の疲れを
思いだしたように
うつらうつらと
眠りにつくのでした。

「リモコンんばぁ…」
「電源ば消さにゃ…」
翻訳
「テレビを消さなければ
一番星が煩い」
彼の説教を喰らわないように
テレビだけは消して置きます。
わきまえております。
僕は居候の身分なのです。
当然です。
最低限のマナーとして
それだけは!と
自分に課していました。
が、僕は忘れてしまうようです。

「わら〜
テレビも付けっ放しで!
着たもんも脱ぎぱなし!
風呂は流してもおらん!
ちゃんと せー」
翻訳
「ちゃんとしなさい!」
18時を回ったのでしょう。
一番星は、
その体躯に似合わない
レンジの高い声を発します。
窓の外は夕暮れ時の風で
カーテンを揺らしていました。

いつものように
小言を吐きながら
後片付けに一生懸命です。
寝惚け眼で
一番星の後姿を眺めながら
「器用な男」だと
つくづく思ってしまいます。
どこでそんな技を
身につけたのでしょう。
洗濯ものを取り込み
丁寧に畳みます。
端がちゃんと揃っています。
お見事です。
綺麗に洗い流した風呂には、
もう既に湯を
張っているようであります。
あっぱれです。
器用な手つきで
テキパキと行動し
全ての段取りを終えた
この家の主は、やっとこさ
風呂をいただくのでした…続く。

ありふれた日常に感謝して
また、明日。

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