厚木のトラック野郎 全11話その7 「長い夜」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
厚木の一番星は、
まさしくあの頃の夢を
叶えたのでありました。

週末ともなれば、
一番星の同僚が集まり
あの頃一番の賑わいをみせた
居酒屋 建六に繰り出します。
トラック野郎の
長い夜のはじまりです。
以前日記でも触れた
男女7人高円寺の登場人物
空回りの男も駆けつけます。
彼は遅咲きの大学生になっており
ピカピカの一年生でありました。
花のキャンパスライフなる日々を
送っていると思いきや
ノミカタ(飲み会)の情報を
仕入れるや否やこうして
愛川の街にやって来るのでした。

トラック乗りとのノミカタは、
豪快で楽しいものでした。
何より気持ちのいい男達ばかりで
一番星のダチというだけで
他は何も入りません。
よそ者の僕らを無条件で
受け入れてくれます。
「さしよりビール!」の号令一下
東京で言う所の「とりあえず生」
に男達は手を挙げます。
仕事終わりの一杯は、
其れは其れは格別なものでした。

熊本の方言でもあるさしより。
明治時代の文豪 徳富蘆花が
自身の作品で記した差し寄り。
何処であっても
一番星はその言葉を使います。
それは、
故郷を忘れまいとする哀愁と
この地に身を置きながらも
関東に負けまいとする
彼なりのこだわりでした。
僕はそんな一番星を眺めながら
友達で良かったと
今更ながらに思うのです。

酒が進めば、
トラック野郎の大切なアイテム
無線の話題に花が咲きます。
身振り手振りで彼らは語るのです。
仲間同志の渋滞情報や
独自の抜け道などを交換する
やり取りのそれは、呪文のようで
僕にしてみたら最後の
「〇〇〇〇どうぞ〜」
しか分かりません。
だけど特殊技術でもあるだけに
そのプロフェッショナルな話は、
とても新鮮なものでした。
一番星にあっては、
もう既に文太さんになりきって
エアー無線 実演の真っ最中。
あの日の彼は、
本物のトラック野郎に
なっていました…続く。

トラック野郎に感謝して
また、明日。

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