厚木のトラック野郎 全11話その10 「一番星の嫁」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
まだ二十代だった僕らは、
遊ぶことも笑うことも
何もかもが
必死で本気だった。
そう思えてなりません。

そんな細かい九州男児の
一番星にも嫁さんが出来ました。
余計なお世話!と
あのレンジの高い声が
聞こえて来そうです。
大丈夫です。
もう居候の身の上では
ありません。
民主主義です。
発言は自由なのです。
その頃の僕は、
レコード会社に所属し
庶民権の座を面の皮一枚で
ギリギリ保っていました。
1997年のカレンダーも
僅かなページを残すのみで
その掲載された写真には
雪が舞っていました。

一番星の嫁さんは、
出来た女性で
一歩下がり夫を立てるという
九州男児の嫁のお約束を
地で行くひとでした。
僕と空回りの男は、
そんな彼女を見ながら
舌を巻いてしまいます。
甲斐甲斐しく
当時のアパートに通う
彼女を知っているからです。

そんなことは当たり前と
言わんばかりに
お掃除 お料理 お洗濯
独身男性が夢見る
三大行事を見事にこなします。
至れり尽くせりであります。
しかも関東に住む
都会のお嬢さんです。
亭主関白な男に
そこまで尽くす女性を
肥後ノ国でさえ
希少なものでありました。
何よりその持て成す
料理の数々が絶品でどれも
美味しいものばかりでした。

一番星に尋ねます。
もう一度居候をしていいかと。
彼の答えは、
「あれは俺の
人生最大一生の不覚!」
で ありました…続く。

一番星の嫁さんに感謝して
また、明日。

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