汚れなき愛を信じて 3話 「出会い」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
長身の彼女は、
踵のある靴を履けば
明らかに僕の背丈を上回り
気遣いからか
今日もペッタンコの
靴を履いています。
二階建ての木造建築。
当時では珍しい屋根裏のある
アパートの鍵を
僕らは開けました。

彼女との出会いは、
錦糸町にあるCLUBでした。
その頃の僕は、
その店の専属の
ボーカリストとして
働いていました。
彼女のテーブルに呼ばれたのが
最初のきっかけでした。

お客様の席に付くことは、
そう珍しいことではありません。
呼ばれれば一緒にお酒を飲み
話の相手をする…
それも仕事のうちでありました。
たとえ気が乗らなくとも
バンドのフロントマン
である以上声がかかれば
行かなくてはなりません。
たまには、差し入れや
チップなどを頂戴し
バンドメンバーと
分け合ったりと
歌手として駆け出しの僕は、
宣伝と営業を兼ねた
使命を担ってもいました。

だけれど、
彼女の時ばかりは別でした。
他の誰とも違っていたのです。
根拠など何もないけれど、
その先ににあるようなものを
彼女の中に見つけた
気がしたのでした。
それと同時に、
彼女の目は何処か悲しみを
帯びているようにも感じました。
それはとても魅力的でありながら
危うさを纏っているものでした。
決して開けてはならない扉…。
僕は、どうしてもそれが
何であるのかを
知りたくなったのです。
もう既にその時から
彼女に惹かれていた
のかも知れません。

連絡先を交換してから
お互いの家を行き来する
ようになるまでに、そう
時間はいりませんでした…続く。

出会いに感謝して
また、明日。

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