汚れなき愛を信じて 5話 「屋根裏部屋」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
おそらく東京で一番
綺麗な夜景が見える場所へと
車を走らせるのでした。

彼女が聞きました。
「私に出来ることは?」
屋根裏部屋は、煙草の煙で
少し霞んでいました。
空中に浮かぶその煙の輪を
僕は目だけで追っています。
シーツに包まった彼女は、
その答えを
待っているようでした。
僕は起き上がり
その部屋に一つだけ設けられた
小さな円窓を開けます。
そして僕は被りを振りました。

窓から零れた光が、
この部屋の埃を際立たせ
その柔らかい風は、
楕円状の煙を揺らしています。
「側にいるだけでいい」
僕は横になりながら
想いを声にしてみました。
今度は、彼女が起きあがり
煙草の火を消す番になりました。
その答えに満足出来ない彼女は、
また僕の腕に素早く滑り込み
話を繋ぎます。

僕は歌でも
聴いている気持ちで
その声に耳を傾けました。
それはとても心地よく響き
僕の心にゆっくりと
降りて来るのでした。
夜明けが、
この屋根裏部屋にも
初夏の風を運んでくれています。
そして僕はまた、何本目かの
煙草に火を点けるのでした…続く。

その声に感謝して
また、明日。

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