汚れなき愛を信じて 22話 「嵐の前」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
哀しい予感はいつも隣合わせ。
もしかしたら
彼女も僕と同じくらいの
質と量を含んだ不安を
感じてたのかも知れません。
そんな僕らの最初の夏は、
ほんの些細な喧嘩から
はじまってしまうのでした。

午前2時30分。
真夜中の首都高速。
東京には珍しい
透明な夜空が澄み渡り
摩天楼を凌駕するかの如く
零れ落ちそうな銀色の星屑が
新宿の高層ビルを
呑み込もうとしていました。

彼女は、自分のしていることが
分かっているのでしょうか…。
これから起こる出来事を
想像すらしないのでしょうか。
彼女は、躊躇いもせずに
走行する車のドアを開けました…。

午前〇時
船堀から百草高台に
遊びに来ていた彼女は、
珍しく酔っていました。
先に潰れてしまう僕を気遣い
見守り役に鐡する筈の
彼女の姿は
この日ありませんでした。
以前にも見た
悲しみのようなもを
その目一杯にためて
僕を見ています。
でもそれは、いつもとは違う
種類のものでした。

その瞳に浮かぶものは、
色と濃度を増し
何をするか解らない危うさを
秘めていたのでした…続く。

あの夜空に感謝して
また、明日。

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