汚れなき愛を信じて 32話 「アン・バランス」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
年上の彼女は、溶錬な色気を
その表情に滲ませています。
彼女の歌声と表情は、
あの高速道路での夜を
忘れさせるに充分なものでした。
僕はそんな彼女を見つめる他に
術がなかったのです。

男と女の関係に限って云えば、
天秤の道具などでは、
到底測りきれはしない。
数値など無意味だ。
男と女においては、
均等などあり得ない。
一方の重さと
もう片方の重みは、
けっして比例したりはしない。
電話をする方とそれを待つ方。
先を歩く者と後に続く者。
物事を決定する側と従う側。

主導権を握る者の特権は、
駆け引きを愉しむこと….。
もやはそれは、カジノで
差し出される負けの無い
プラスチック製チップの
やり取りのようだ。

その手に首を掴まれた側は、
この身と心を担保に
負けと知りながら賭け続ける。
息を止めてしまうまで…。

そんな「アン・バランス」な
物事に立たされた時の僕は、
縋るような気持ちで
あの頃に逃げ込むしか
なかったのです。
誰とも話したがらなかった
幼少時代のあの日。
以前この日記にも述べた
決して裏切ることのない
唯一無二の存在
シェパード犬の大五郎。
言葉のない世界で
分かり合えたひと以外の友。
そんな勝手病なる
得体の知れないそれは、
様々なカタチで僕を救い
苦しめもするのでした…続く。

小さな救いに感謝して
また、明日。

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