汚れなき愛を信じて 41話 「幻滅」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
時計の針は、
もう既に遅刻を示していました。
初出勤が台無しです。
目的地である西大島まで
あと僅か3.5キロメートルの
距離でありました。

「もう、車には乗るな〜」
「傍迷惑もよかとこっ!うして~」
翻訳
(人に迷惑をかけるくらいなら
その車を捨てなさい)
電話の向こうで中学の同級生
厚木のトラック野郎一番星が、
からかうように言いました。
ごもっともであります。

以前この日記でも触れた
厚木のトラック野郎。
嘗て愛川町で居候していた頃
冗談交じりに
僕は語ったものでした。
10リッター未満の車の走行距離と
満タンで走る車の走行距離は、
確実に前者が勝る!
確かに理屈ではそうなのです。
一番星がケタケタと
その体躯に似合わない笑い声を
あげながら言いました。
「貧乏の痩せ我慢~」
おっしゃる通りです。
そんな事をほざいていたかと
思うと恥ずかしくて
仕方ありません。

本音で言えば、
例え草臥れた中古車とはいえ
僕には大切な足。
愛車には変わりないのです。
お腹いっぱい油(ガソリン)を
飲ませてあげたい…
それが親心であります。
でも、無い袖は振れないのも
事実でありました。
かといってガス欠を起こしたら
元も子もありません。

無理にサイズの違う服を
着ようとした報い…。
自分の腕の長さ以上のものを
掴もうとする愚かさ…。
稚拙な空回りの所業は、
やがて呼び水となり
その溝を深くしてゆくようです。
もはや彼女においては、
「幻滅」以外の何ものでも
なかったのかも知れません…続く。

一番星の優しさに感謝して
また、明日。

 

 

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