汚れなき愛を信じて 42話 「虚勢の鎧」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
もはや彼女においては、
「幻滅」以外の何ものでも
なかったのかも知れません。

季節は移り変わり
船堀の街は冬の装い。
それからの僕らは、
喧嘩をしながらも
「歌の糸」一本で
かろうじて繋がって
いるようなものでした。
こんなエピソードがあります。
それは、プリンス・マンションで
年を跨ぐ大晦日の話。

料理で忙しい筈の彼女が
トイレから暫く出て来ません。
どうしたものかと
様子を伺うと…。
TOTOと書かれた製品と
対峙している最中でした。
どうも水が流れずに
壊れてしまったようです。
「どれ」と言う僕に
彼女は疑いの眼差しを
向けました。
その目が僕に火を点けます!

何をしたのか覚えてはいません。
端から機械音痴の僕であります。
勘だけを頼りに生きてきました。
家にある工具を使い
ばらして必死で
そのミッションにあたりました。
人間やろうと思えば、
大抵のことはやれるものです。
そして僕は、
通常使えるようになるまでに
TOTOを復活させたのでした。
僕はやり切ったのです!
三時間をこえるトイレとの戦いで
僕は達成感に
満たされていました。
褒められると期待した
彼女の一言は、
「初めて尊敬した」…。

もう一度 言わせて下さい。
一世を風靡したドラマ
北の国からの登場人物
純の台詞を借りるなら
「僕は傷ついていた…」
でありました。

除夜の鐘が点けっ放しのTVから
聴こえてきました。
彼女の大晦日料理は、
とても美味しいく久しぶりに
あの百草高台 屋根裏の夜を
思い出させてくれました。
勝手に作りあげた
「虚勢という鎧」
僕はそれをその年越しとともに
脱ぎ捨てるの
でした…最終章へと続く。

除夜の鐘に感謝して
また、明日。

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