汚れなき愛を信じて 52話 「彼女から笑顔が消えた日」後編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
同じものを見ていたはずなのに
どうして僕らは、
すれ違ってしまうのでしょう…。
それを知り得るには、
彼女はまだ若く
そして、僕はより子供でした。

それでも
諦めることさえも恐れた
未熟な僕らは、
続けていく理由を探し
裏切られ …。
抗う他に術を知らない
愚かな僕らは、
小さな光のようなものを
あたかも作り出すかのように
そのまぼろしを探すのでした。
だけれど、その度に
この先に何も無いと
思い知らされるのです。
そして、
そのまぼろしを見出すことは
最後まで叶いませんでした。

【回想】
甲斐性もなく
根拠のない自信しか
持ち合わせていない男と
その声が好きだという女を
繋ぐものがあるとするならば、
それは「歌の糸」に
違いないのでした。
11話「歌の糸」より

切れてしまいそうな「歌の糸」を
僕らはただ見ているに
過ぎませんでした。
その絡み合うように捻れた糸が、
くるくると回りながら
痩せてゆく様を…。
途切れそうな「ツナガリ」に
僕らは、目を閉じました。
ひらひらとその手の平から
溢れ落ちてゆくのを感じながら…。
あの百草高台 屋根裏の夜から
三年が過ぎた頃
僕と彼女と、1995年の
夏が終わりました…続く。

彼女の笑顔に感謝して
また、明日。

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