for you…summer 34話「六本木セレナーデ」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
完全に浮き捲くっている僕を
彼女はエスコートするように
慣れた手つきでopenした
ばかりのその扉を
開けるのでした…。

彼女の何気ない仕草…。
慣れた手つきで
店に入るMの後ろ姿に
幾らかの違和感を覚えました。
はじめての筈なのに…。
だけどそれは、
この店のオーナーの
登場によってかき消されて
しまうのです。

紹介された六本木の彼は、
四十代半ばの日焼けした男性で
ダンディズムを絵に描いた
ような人でありました。
身に付けたアクセサリーも
ブランド物であるようで
高級感満載であります。

店内はといえば、
テレビドラマの撮影には
難なく対応出来る
シャレた造りで
洗練された大人の空間を
意識したものであるようでした。
極め付けは、部屋の中に
パラソルが差してあるのです!
言っては悪いが、何処まで
かぶれているのでしょう…。

でも彼は、決して
悪い人ではないようでした。
物腰は柔らかく
来てくれたお礼にと
ワインを開けてもくれました。
だけれど、
何かが気に食わないのです。
何故に毒づくアフリカーナ…。
何気ない彼の視線と
Mの眼差しに苛立ちを覚え
緊張感をも帯びた
二人のやり取りに
居心地の悪さを禁じ得ません。

唇に零れたルージュの微笑み…。
彼女はいったい何を
見ているのでしょうか…続く。

その体験に感謝して
また、明日…。

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