for you…summer 36話「六本木セレナーデ」後編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
彼が、二本目のワインを
開けました。
今夜のMは、酒の量が少し
過ぎるようです。
赤い葡萄酒に新しいグラス。
ワイングラスを挟む彼の指に
彼女の視線が注がれました…。

云うなれば同業者。
同じ水ものを生業にしている
とはいえ、こうも違うと
引け目を感じてしまうのです。
カクテルの「カ」の字も知らない
ハッタリのアフリカーナ…。
飲み慣れぬ葡萄酒は、
敷居が余りにも高すぎます。
芋焼酎がお似合いなのです。

片や六本木のダンディーマンは、
東京でも一等地に店を構える
THE’s オ・ト・ナ! だけど、
いくらMの知り合いとはいえども
‘いけ好かない’感情を
拭い去る事が出来ません。
ダンディズムの塊みたいな
その男を眺めながら
ブラック・アフリカーナ
闇の顔が姿を現し囁くのでした…。

【妄想1】
古今東西 上方に置かれては、
裏原宿などに見られるように
この肥後の地であっても
例外ではありません。
裏(うら)と付くだけで
ちょっとお洒落な気がしている
愚かなセンスマン。
少しハスに構えた上から目線の
鼻持ちならないナンパ野郎!
なんぼのものなのでしょう…。
16話 「ヤンキー」より〜

己れ!ここにも居たか
六本木センスマン。
置いてけぼりの空間の中で
僕のさらなる妄想は続きます。
それすらも気付かぬ
隣のMは、この上質な夜に
只々酔いしれているのでした…。

涼しい顔で二人の会話に
耳を傾ける
笑顔のアフリカーナ。
Mに恥をかかせる訳には
行きません。
わきまえております。
だけど、その懐には
辛辣な妄想を
膨らませておりました。

【妄想2】
彼の日焼けした顔を眺め…。
「その黒さは、
松崎しげるですか?」
不自然な程にケアされたお顔…。
その白い歯もお命なのでしょう…。
とっても特徴的です。
だけれど、
天然物で有るか否かは
直ぐに分かってしまいます。
笑止!馬鹿にしてはなりません。
戸馳島出身 漁師の息子
なのであります。
日焼けサロンは所詮偽物…。
港町で云うところの大量生産
養殖物は、トドのつまり…まがい物
天然物に勝るものは
無いのであります。

更に心の声は高鳴り
想像の翼を拡げて
物事の本質 核心に迫るのです!

【妄想3】
そして、
その足元といったら…。
いくら90年代
トレンディードラマ
全盛期の世とはいえ
靴下を履かないのは
如何なものでしょう…。
例え田舎侍の分際であっても
「石田純一ですか?」と
茶化すのも無理からぬ
事なのであります!

自分の事は棚にあげ
六本木センスマンには手厳しい
愚かなアフリカーナ…。
だけど、その感情は
外敵から身を守る習性…即ち
動物的防衛本能から
来るものに似ていました。
僕は、危険な匂いを
無意識の内に嗅ぎ取って
いたのかも知れません。

Mの赤い唇にまた、
女の笑みが零れました。
非の打ち所のない
六本木ダンディー。
張り合える器量もない癖に
夢しか持ち合わせていない
男は、最後に呟くのです。
「靴下を履きなさい…」
それは僕の、彼に対する
唯一の上から目線…
負け惜しみにも似た
哀しい「心の声」
なのでありました…続く。

六本木の夜に感謝して
また、明日。

“for you…summer 36話「六本木セレナーデ」後編” への2件の返信

  1. for you‥
    好きな人を思う気持ちと風景も浮かんで
    想像できました。
    純粋に一途に愛して…でも悲しくなる
    歌詞にキュンときたり( ; ; )
    私もずーっと忘れない人を思う時に聴きたいなと思いました。
    優しくて男性の色気さを感じるセクシーな声が好きです。もう少しでCDが届くので楽しみです!

    1. 佐藤 鈴子 様

      CDのお取り寄せ
      ありがとうございます。
      そう想っていただけて
      嬉しいかぎりです。

      for you…の話は、今後二転三転
      してゆくことになります。
      ひとつ・ひとつ大事に書いて
      行こうと思っています。
      これからも、どうぞ宜しく
      お願いします。

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