for you…autumn 47話「命がけの階段」後編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんな折 熊本市内は
水前寺公園裏の下宿屋で
謹慎を余儀なくされた僕は、
停学中にも関わらず
ある事情に
胸を痛めていました…。
それは、
互いの誤解が招いた
裏社会のプロとの決闘。
その原因は「女」でした。

誰もが経験するであろう
恋愛による人間関係の縺れ…。
即ち 三角関係の端と端に男がいて
その頂点に結び目の
女が君臨する。
男とは、いつだって
惚れた女に翻弄される
生き物なのかも知れません…。
ただ一般的でないとしたら
その相手が、堅気ではない
と言うことでした。

死ぬつもりで事にあたることを
「決死の思い」だとか
「背水の陣で望む」などと
云うそうです。
僕は、一度だけそんな経験を
したことがあります。
たいして腕に覚えが
ある訳でもないのに、相手が
誰であろうとお構い無しでした。
連れ(仲間)からも
言われるように何かの
きっかけで頭のネジが外れ
行動に見境が
付かなくなるようです。
熊本地方ではそれを
「勘無し→カンナシ」そう
呼んでいました。

そんなまわりの思いをよそに
当の本人は至って冷静でした。
生まれてはじめて
色々なものが
俯瞰で見える現象。
それは「無」に似た感覚…。
今を持ってしても
鮮明に回想する事が出来ます。

当時 我らの溜まり場であった
熊本競輪場 裏通りの喫茶スナック
『北緯三十七度五十分』に
心配して遠方から
駆けつけた連れたちの面々…。
止める仲間を制して
決闘場所である熊大前の
デイリーストアー駐車場へ…。
熊本市内の大動脈
東バイパスから自前の単車で
向かった国道3号線…。
死を覚悟して望む
「恋の闘い」は、ドスを喉元に
突き付けられても
怯まないものでした。
その事件は波紋を呼び
互いの家紋の長が出張る事により
漸く幕引きとなるのでした…。

死をも恐れない行動と
燃え尽きても構わない覚悟の
恋はとても似ている…。
僕は2度目の「命がけの階段」を
のぼるのでした…続く。

最後の昭和に感謝して
また、明日。

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