for you…autumn 49話「恋のゆくへ」

for you…autumn
49話「恋のゆくへ」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
だけど、これもおとしまえ…。
付き合って貰います。
僕は動じることもなく
かすみ草に忍ばせたCDの
プラケースを指差して一言
「聴いて欲しい」と
伝えるのです。
悲しいことにそれは、
彼女の細かい表情や
目の動きまでも
鮮明に映すし出すのです。
Mは、決して
喜んではいませんでした。

彼女は手に持ったものを
勘定場の裏 目隠しに貼った
布切れの中へそれを押し込み
カウンターが伸びる奥へと
足早に去って行きました。
この舞台から逃げ出すように…。
一度も振り向くこともなく…。
そして
スローモーションのような
この一連の流れが
Mが舞台袖に消えたのと同時に
動き出すのでした。

彼女の残像を認めた僕は、
それを噛み締めるように
この店の階段を降りるのです。
先ほどの余興は
なかったかのように
テラス席の恋人たちが、
頭に手を当てて
中へと逃げ込みはじめました。

ちらほらと降りだした雨が
足元の階段に小さな波紋を作り
風に吹かれたそれが、
冷たく頬を伝うのです。
長い冬が、もうそこまで
来ているのでした…続く。

この恋に感謝して
また、明日。

“for you…autumn 49話「恋のゆくへ」” への2件の返信

    1. おはようございます。
      コメントありがとうございます
      for you 残り3話
      最後までどうぞ宜しく
      お願い致します

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