聞こえてますか? 畦道とハイヒール 総集編 last 「金髪丸坊主」episode13

 

聞こえてますか?
昨日の続き…。
順応する天才。
その食に対する
飽くなき探究心だけは、
なんちゃって
漁師の女房の名に恥じぬ
ものでありました。

そんなあなたにもこの戸馳島で
お友達が出来ました。
家族ぐるみの付き合いでよく宴を開き
家庭用カラオケを愉しんでいました。
十八番は、銀座の恋の物語。
石原裕次郎と牧村旬子の
二人で歌うそれは、
映画にもなり現在でも
カラオケの定番の
デュエット曲として
愛唱されています。

あなたたちは、見つめ合い
ハモりながら喉を鳴らしています。
見ているこっちが
恥ずかしくなってしまいます。
けっして上手ではなかったけれど
その歌声は、
飲み会を盛り上げるに
充分なものでした。
何より島の人たちは、
歌が大好きでした。
でも僕は知っています。
「上手なカラオケQ&A」
なる本を読んでいたことを。
あなたなりに
頑張っていたのですね。

最初 戸惑っていた島での暮らし。
日に日に馴染んでゆくあなたを
見るのが好きでした。
誰よりも僕が嬉しく思っていた事を
あなたは知っていましたか?
メイクも薄く ファッションも
派手でなくなりました。
その代わり髪型だけは、
攻めていましたね!
「金髪丸坊主」
やっぱり、風にはなびきません。
今でこそ珍しくない
そのヘアースタイル。
だけれど、あの当時
そんな髪型にする女性を
僕は知りません。
まるで、生まれたての
お猿さんのように見えたものです。
流石の父も首を傾げるばかり…。
あなたは、どこまでいっても
あなたでした。

2017年夏。
嫌だったはずの赤いハイヒール。
風になびくことのない
金色の髪の毛。
なんだか愛おしく
素敵に思えてしまいます。

【回想】
天草の玄関口
三角港から渡し舟でゆく島。
みかん畑が連なる山々と
北に広がる有明海。
南には、不知火海を臨む
その島のことを人々は
戸馳島と呼んでいます。
そこに住む人たちは、
長閑な自然と寄り添い
暮らしていました。
そんな島の景観に逆向するかの如く
船着場までの畦道を颯爽と闊歩する
ひとりの女性がいました…。

東京の遥か向こう側。
あなたが眠る九州の地を想い
今日もまた、
西の空を見上げています…幕。

真っ赤なハイヒールを履いた
あなたに感謝して
また、明日。

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