汚れなき愛を信じて 総集編 playback…15

汚れなき愛を信じて 総集編
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☘️三章/41話「幻滅」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
時計の針は、
もう既に遅刻を示していました。
初出勤が台無しです。
目的地である西大島まで
あと僅か3.5キロメートルの
距離でありました。

「もう、車には乗るな〜」
「傍迷惑もよかとこっ!うして~」
【翻訳】
『人に迷惑をかけるくらいなら
その車を捨てなさい』
電話の向こうで中学の同級生
厚木のトラック野郎一番星が、
揶揄うように言いました。
ごもっともであります。

嘗て愛川町で居候していた頃
冗談交じりに僕は語ったものでした。
「10リッター未満の車の走行距離と
満タンで走る車の走行距離は、
確実に前者が勝る!」
確かに理屈ではそうなのです。
一番星がケタケタと
その体躯に似合わない笑い声を
あげながら言いました。
「貧乏の痩せ我慢~」
おっしゃる通りです。
そんな事をほざいていたかと
思うと恥ずかしくて仕方ありません。

本音で言えば、
例え草臥れた中古車とはいえ
僕には大切な足。
愛車には変わりないのです。
お腹いっぱい油(ガソリン)を
飲ませてあげたい…
それが親心であります。
でも、無い袖は振れないのも
事実でありました。
かといって、
ガス欠を起こしたら
元も子もありません。

無理にサイズの違う服を
着ようとした報い…。
自分の腕の長さ以上のものを
掴もうとする愚かさ…。
稚拙な空回りの所業は、
やがて呼び水となり
その溝を深くしてゆくようです。
もはや彼女においては、
『幻滅』以外の何ものでも
なかったのかも知れません…続く。

一番星の優しさに感謝して
また、明日。

☘️三章/42話「虚勢の鎧」

聞こえてますか?
季節は移り変わり
船堀の街は冬の装い。
あれからの僕らは、
喧嘩をしながらも
『歌の糸』一本で
かろうじて繋がって
いるようなものでした。
こんなエピソードがあります。
それは、プリンス・マンションで
年を跨ぐ大晦日の話。

料理で忙しい筈の彼女が
トイレから暫く出て来ません。
どうしたものかと
様子を伺うと…
TOTOと書かれた製品と
対峙している最中でした。
どうも水が流れずに
壊れてしまったようです。
「どれ」と言う僕に彼女は、
疑いの眼差しを向けました。
その目が、僕に火を点けます!

何をしたのか覚えてはいません。
鼻っから機械音痴の僕であります。
勘だけを頼りに生きてきました。
家にある工具を使い
ばらして必死で
そのミッションにあたりました。
人間やろうと思えば、
大抵のことはやれるものです。
そして僕は、
通常使えるようになるまでに
TOTOを復活させたのでした。
僕はやり切ったのです!
三時間をこえるトイレとの戦いで
僕は、達成感に満たされていました。
褒められると期待した
彼女の一言は、
「初めて尊敬した」…。

もう一度 言わせて下さい。
一世を風靡したドラマ
北の国からの登場人物
純の台詞を借りるなら
「僕は傷ついていた…」
でありました。

除夜の鐘が点けっ放しのTVから
聴こえてきました。
彼女の大晦日料理は、
とても美味しいく久しぶりに
あの百草高台屋根裏の夜を
思い出させてくれました。
勝手に作りあげた
『虚勢という鎧』
僕はそれを
その年越しとともに
脱ぎ捨てるのでした…続く。

除夜の鐘に感謝して
また、明日。

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