汚れなき愛を信じて 総集編 playback…20

 

🍁最終章/51話
「彼女から笑顔が消えた日」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
今 僕の胸に抱かれたひとは、
傷ついたひとりの幼い子どもで
父親の手の温もりを知らない
可哀な少女であったのでした。

もう彼女は、船堀橋の上で
車の窓を開けたりは
しませんでした。
吹き抜けるはずのその風は、
途絶えてしまいました。
彼女から笑顔が消えました…。

心の中にしまって置いたものを
洗いざらい打ちあけた彼女は、
そんな自分が許せないようでした。
それこそが、彼女を支えていた
強さ源泉(みなもと)で
あったからなのかも知れません。

【回想1】
父親の話は、
したがりませんでした。
僕もそれにさわることを
しなかったし
聞くつもりもありませんでした。
だけれど、
彼女は一度だけ
それに触れたことがあります。
咳を切ったように話しだしたそれは、
今よりずっと先のことでした…。
12話「過去」より
【回想2】
悲しい瞳に隠され謎…。
彼女の瞳は、僕の腕を縛り
その声は、僕に足枷を嵌めました。
僕は諦めにも似た気持ちで
その入り口の鍵を手にしました。
そして、嘲笑うかのように
差し出された台帳に
執着という烙印を押すのでした…。
28話「足枷と烙印」より
【回想3】
その頃の僕はと云うと
完全に自分を見失い
彼女との接し方にも変化が
起こりはじめていました。
足が地面に着いていない
感覚に囚われ
歩く時の腕の振り具合さえ
とても不自然で
ぎこちないものでした。
まるで重たい鎧を
身に付けているかのように…。
39話「船堀橋大渋滞 中編 」より

無茶なことだとわかっていても
僕は彼女の願いを追い続けました。
『虚勢』という鎧を身に纏い
鼻っからありはしない抱擁力を
あたかも備えているかのように…。
いつの日からか僕も同じように
彼女の父親の影を探していたのです。
代わりなど務まりはしないのに…。
同じものを見ていたはずなのに
どうして僕らは、
すれ違ってしまうのでしょう…。
それを知り得るには、
彼女はまだ若く
そして、僕はより子供でした…続く。

若き日に感謝して
また、明日。

🍁最終章52話
「彼女から笑顔が消えた日」後編

聞こえてますか?
それでも
諦めることさえも恐れた
未熟な僕らは、
続けていく理由を探し裏切られ …。
抗う他に術を知らない
愚かな僕らは、
小さな光のようなものを
あたかも作り出すかのように
そのまぼろしを探すのでした。
だけれど、その度に
この先に何も無いと
思い知らされるのです。
そして、
そのまぼろしを見出すことは
最後まで叶いませんでした。

【回想】
甲斐性もなく
根拠のない自信しか
持ち合わせていない男と
その声が好きだという女を
繋ぐものがあるとするならば、
それは「歌の糸」に
違いないのでした。
11話「歌の糸」より

切れてしまいそうな『歌の糸』を
僕らはただ見ているに
過ぎませんでした。
その絡み合うように捻れた糸が、
くるくると回りながら
痩せてゆく様を…。
途切れそうな『ツナガリ』に
僕らは、目を閉じました。
ひらひらとその手の平から
溢れ落ちてゆくのを感じながら…。
あの百草高台 屋根裏の夜から
三年が過ぎた頃
僕と彼女と、1995年の夏が
終わりました…続く。

彼女の笑顔に感謝して
また、明日。

 

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