汚れなき愛を信じて 総集編 playback…21

🍁最終章/53話「それから」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
切れてしまいそうな『歌の糸』を
僕らはただ見ているに
過ぎませんでした。
その絡み合うように捻れた糸が、
くるくると回りながら
その糸が痩せてゆく様を…。
途切れそうな『ツナガリ』に
僕らは、目を閉じました。
ひらひらとその手の平から
溢れ落ちてゆくのを感じながら…。
あの百草高台の屋根裏の夜から
三年が過ぎた頃
僕と彼女と、1995年の夏が
終わりました。

2017年 12月 東京。
師走の錦糸町は、クリスマスを
待ち侘びるかのように
人も街もキラキラと輝いていました。
僕は懐かしさのあまりに
その歩幅を緩めるのです。
あの頃の面影を残すもの…。
はじめて待ち合わせをした
丸井デパート前の京葉道路。
僕はその脇を通り
この街きっての歓楽街へと
進みました。

【回想】
最初の待ち合わせ場所は、
錦糸町駅前にある
丸井のデパート前でした。
夜も深い時間だけあって
車の往来も疎らな京葉通りは、
容易に駐停車出来る空き具合でした。
だけれど、彼女はもう既に
来ているようです。
スラリと伸びたその長身は、
夜にだって目立ってしまいます。
それから僕らは、
おそらく東京で一番
綺麗な夜景が見える場所へと
車を走らせるのでした…。
4話「クリームシチュー」より

変わってしまったもの…。
以前専属ボーカリストとして
働いていたGS-CLUBの看板は、
違う飲食店に様変わりしており
箱バンで賑わいを見せていた
あの頃の高級倶楽部も
息を潜めているようです。
僕はミニストップと書かれた
屋号のコンビニエンスストアーを
右へと曲がり
ある店の前で足を止めました。

この街には、
けっして変わらない人がいます。
あの長い黒髪と
魅力的な瞳を持つひと。
そのスラリと伸びた長身は、
どこでだって目立ってしまいます。
彼女でした…続く。

12月のこの街に感謝して
また、明日。
🍁最終章/54話「それから」中編

聞こえてますか?
この地で生まれ
この街で育った彼女は、
あの頃と変わらず力強く
生きていました。
オーナーである
彼女のお店に腰を下ろし
ウィスキーをオーダーします。
L字形のカウンターは
まだ新しくシンプルでありながらも
この店の顔というべき
落着きをはらっております。
飾られたインテリア
つまりはアンティークを
兼ね備えた小物たちは、
鮮やかにこの空間を彩っていました。
そして、
その壁に貼られた大ファンである
プロレスのポスターは、
江戸っ子である彼女を
象徴するかのように
このお店を『粋』で『乙』もの
しておりました。

【回想1】
何より彼女の理想の男性は、
ガッチリとした男らしい人…
大のプロレスファンで
あるのでした。
「三沢チョプ」などと言いながら
ふざけて来ます。
彼女が言いました。
「三沢光晴が私のタイプ!」
ダウンです。
相手はタイガーマスクです。
伊達直人であります。
敵う相手ではありません。
僕とはあまりにも真逆。
よくもまあ いけしゃあしゃあと
そんな事が言えたものであります。
20話「男と女 中編」より
【回想2】
彼女は、その外見に反し
古風なところがありまして
江戸っ子の気質か
はたまた環境によるものなのか…
洋風に例えますと
アンティークなものが
お好みでありました。
例えば、プリンス・マンションの下に
リアカーを引いてやってくる
赤提灯のおでん屋さん。
彼女の注文も酒の飲み方も
江戸でいう処の『粋』でありました。
14話「江戸っ子」より

彼女らしいなと思いながら
ウイスキーのグラスに
口をあてました。
あれからの僕らは、
離れたり戻ったりを繰り返し
その先にあるものに目を伏せて
次第に努力さえも
しなくなって行きました。
そして
それからの僕たちは、
四度目の夏を迎えることは
なかったのです。
1995年 夏の終わり。
その年号とその季節が二人の
ピリオドを教えてくれたのかも
知れません…続く。

遠き日の想いでに感謝して
また、明日。

 

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