🌙summer
19話「Challenge」
聞こえてますか?
昨日の続き…。
彼女の電話番号を聞くに
至るのは、長い梅雨が明け
この三宿の街にも
夏を知らせる風が
吹く頃でありました。
漸く彼女Mの電話番号を
聞き出す事に成功した
三つ編みアフリカーナ。
新たなる関門 !
自宅に電話すると云う
何とも胃の痛い経験と
持ち前の根拠なき自信を武器に
彼女との距離を詰めようと
必死でありました。
そんな努力の甲斐あってか
今こうして、Mが働く三宿から
彼女の自宅である下馬への
道のりを散歩する迄に
成長を遂げていました。
僕にしてみたら
大した進歩であります。
first touch !
東京03に手を伸ばした
ダイヤルする時の指の震え。
過呼吸を覚えるほど
吸い込んだ深呼吸…。
まるで中学生のような有り様。
会話にしても本人以外が
電話に出ることを想定して
(もしもお母さんが出たら)の
イメージトレーニングに励み
前もって下書き(台本)を書く
念の入れようでありました。
だけれど、
リハーサルは所詮 予定調和。
LIVEでは使いものになりません。
メンタルと本番の弱さに
苦々しいデビューを
飾るのでした…。
そんな、度重なる失敗の中
あの手この手を模索し
行き着いた先が
夜の遅いバイト帰りに
自宅まで送ると云うChallenge❗️
名付けて「下馬散歩」
でありました…続く。
繋がることに感謝して
また、明日。
🌙summer
20話「下馬散歩」前編
聞こえてますか?
ドイツ車とは名ばかりの
草臥れた中古車であっても
5分とはかからない距離。
それではもったいない…。
僕は、徒歩での警護ならぬ
頼まれもしない
ボディーガードの役を
買って出たのです。
風貌からして、好き好んで
異様な髪型をした人物に
声をかけたりする者は
皆無であります。
物騒な夜のひとり歩きには
もってこいの人材でありました。
歩いて10分の僅かな道のりに
僕は全てを賭けました。
最初は迷惑そうだったM…。
そんな熱意を汲み取ったような
半ば諦め…根負け感も否めない
僕らの「下馬散歩」が
はじまるのでした…続く。
散歩道に感謝して
また、明日。