for you…summer 21話「下馬散歩」中編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
最初は迷惑そうだったM…。
そんな熱意を汲み取ったような
半ば諦め…根負け感も否めない
僕らの「下馬散歩」が
はじまるのでした。

「その髪いつ洗うの?」
三つ編みにした肩まで
伸びる髪にパステルカラーの
ビーズをあしらった
それを指差しMが言うのです。
少しは、僕に興味を持って
くれたのでしょうか…?
気分を良くした
なんちゃってアフリカーナは
語り出すのです。
自身の洗えない髪のこと…。
夢と音楽の話…。

しっかりと目を見て
会話をすることや
人の話に耳を傾けて
ちゃんと聞くその姿勢に
「品」と云うものを
感じずには要られません。
両親の愛情を一身に受けて
大切に育てられたのだと
改めて思うのです。

彼女は、分からない事は聞き
思った事は素直に
言うひとでした。
決して強い物言いではなく
やわらかな口調で…。
上からでもない
丁寧な言葉遣いで…。
いつも自然体で、どこか
天然色を持ち合わせたM。
その飾らない笑顔が、全てを
物語っているのでした…続く。

飾らない笑顔に感謝して
また、明日。

for you…summer 20話「下馬散歩」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんな、度重なる失敗の中
あの手この手を模索し
行き着いた先が
夜の遅いバイト帰りに
自宅まで送ると云うChallenge❗️
名付けて「下馬散歩」
でありました。

ドイツ車とは名ばかりの
草臥れた中古車であっても
5分とはかからない距離。
それではもったいない…。
僕は、徒歩での警護ならぬ
頼まれもしない
ボディーガードの役を
買って出たのです。
風貌からして、好き好んで
異様な髪型をした人物に
声をかけたりする者は
皆無であります。
物騒な夜のひとり歩きには
もってこいの人材でありました。
歩いて10分の僅かな道のりに
僕は全てを賭けました。

最初は迷惑そうだったM…。
そんな熱意を汲み取ったような
半ば諦め…根負け感も否めない
僕らの「下馬散歩」が
はじまるのでした…続く。

散歩道に感謝して
また、明日。

for you…summer 19話「Challenge」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
彼女の電話番号を聞くに
至るのは、長い梅雨が明け
この三宿の街にも
夏を知らせる風が
吹く頃でありました。

漸く彼女Mの電話番号を
聞き出す事に成功した
三つ編みアフリカーナ。
新たなる関門 !
自宅に電話すると云う
何とも胃の痛い経験と
持ち前の根拠なき自信を武器に
彼女との距離を詰めようと
必死でありました。

そんな努力の甲斐あってか
今こうして、Mが働く三宿から
彼女の自宅である下馬への
道のりを散歩する迄に
成長を遂げていました。
僕にしてみたら
大した進歩であります。

first touch !
東京03に手を伸ばした
ダイヤルする時の指の震え。
過呼吸を覚えるほど
吸い込んだ深呼吸…。
まるで中学生のような有り様。
会話にしても本人以外が
電話に出ることを想定して
(もしもお母さんが出たら)の
イメージトレーニングに励み
前もって下書き(台本)を書く
念の入れようでありました。
だけれど、
リハーサルは所詮 予定調和。
LIVEでは使いものになりません。
メンタルと本番の弱さに
苦々しいデビューを
飾るのでした…。

そんな、度重なる失敗の中
あの手この手を模索し
行き着いた先が
夜の遅いバイト帰りに
自宅まで送ると云うChallenge❗️
名付けて「下馬散歩」
でありました…続く。

繋がることに感謝して
また、明日。

for you…rain season 18話「肥後五十二万石」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
我らの世界では「ぬしゃ~
市内に染まった人種の違う!」
【翻訳】
「君はかぶれてしまったんだね」
などと冷遇され
その者の名は地に落ち
昔で云うところの
村八分の体で扱われ
連れ(仲間)としての絆
地元を往き来する
道中手形なるものを
失うのでありました。

たかだか九州の
その又一国の話…。
そうではないのです。
そんな五十二万石
肥後一国の中であっても
様々な人たちの古くから
培って来た風土や風習…
暗黙の了解が根付いていると
云う事なのです。

硬派と云えば、
聞こえ栄えはするものの…。
我らリーゼント
「ヤンキー」族は、
そんなチャラチャラした
鼻持ちならない
「センスマン」を
どこか羨ましく思いながらも
代々受け継がれてきた
先輩たちの習慣や掟を
大事にする生き物なのでした。

さて、話は戻り…
時は平成 江戸三宿。
「ナンパしたことないの?」
もう一人の踊り子
2ブロックちょんまげ頭が
揶揄うように
上から目線で言いました。
僕にしてみたら
ナンパ出来ない事など
恥ずかしい事ではないのです。
上方育ちの「大江戸センスマン」
には解らない手前の
事情だってあるのです!

それからも
肥後もっこすアフリカーナの
死闘は続き…
「ダイヤルM」の遂行に
かなりの時間と大量の酒代を
必要とするのでした。
彼女の電話番号を聞くに
至るのは、長い梅雨が明け
この三宿の街にも
夏を知らせる風が
吹く頃でありました…三章
summerへと続く。

肥後もっこす者に感謝して
また、明日。

for you…rain season 17話「肥後もっこす」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そしてポマードを練り込んだ
それは、年配の大人の匂いを
彷彿させたものであり
それは正にひと昔前の
仏映画スターアラン・ドロンの
(風)の香りなのでありました。

洋服にしてもちょっとした
お出かけの際には、
そのサンロードの玄関口
紳士服の「フタタ」
なのであります。
江戸で云うところの
紳士服の青山なので
ありましょう。
当然 異性の懐は遥かに遠く…。
話題といえば、
Kawasaki Z400GPの
カラーリングがどうの…だとか
誰かが停学を喰らった…などの
会話が主流でありました。
熊本女子がセンスマンに靡くのも
道理と言えば道理…。
無理のない事でありました。

そんな「肥後もっこす」
同士の対立軸の中で、
センスマン つまりは
ナンパ野郎に染まって行く
裏切り者もしばしば現れ…。
我らの世界では「ぬしゃ~
市内に染まった 人種の違う!」
【翻訳】
「君はかぶれてしまったんだね」
などと冷遇され
その者の名は地に落ち
昔で云うところの
村八分の体で扱われ
連れ(仲間)としての絆
地元を往き来する
道中手形なるものを
失うのでありました…続く。

高校時代の連れに感謝して
また、明日。

for you…rain season 16話「ヤンキー」

 

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そして、
マッシュルームのような
髪型をした彼らの
十八番と云えば
ナンパでありました。
熊本最大の歓楽街裏(うら)上通り
裏(うら)下通りで
揃えたブランドの服を着こなし
そのさらさらとした
前髪をなびかせて
さりげなく異性の懐深く
入り込む人種なのでありました。

古今東西 上方に置かれては、
裏原宿などに見られるように
この肥後の地であっても
例外ではありません。
裏(うら)と付くだけで
ちょっとお洒落な気がしている
愚かなセンスマン。
少しハスに構えた上から目線の
鼻持ちならないナンパ野郎!
なんぼのものなのでしょう…。

方や「ヤンキー」と云えば、
その様な物言い立ち振る舞いを
冷笑するかの如く
はたまたVSの構図を
明らかにするように
独自の言語を編み出し
上方の人 所謂センスマンに
対抗しておりました。

⚠️(ヤンキーが使う言葉)
*JR(旧国鉄)三角線に限る
「スッタ〜ン武者ん’よか」
「ご”ろっ武者ん’よか」
【翻訳】
「とても格好がいい」
ナンパ野郎(センスマン)は、
上記のような
言い回しを致しません。
たとえ真似をしたとしても
イントネーションが違うのです!
笑止!まがい物は所詮 偽物…。
眉唾なのであります。

裏(うら)通りなどを嫌う
我ら「ヤンキー」族は、
表通りを堂々と歩くのです。
サンロード新市街
なのであります。
そのカッチとした髪型は、
フランス航空で名を馳せた
コンコルドの如く前へ前へと
鋭くトンガっており
風になびく事などありません。
その生き様を表現する
かのように決してブレない
髪型なのであります。
そしてポマードを練り込んだ
それは、年配の大人の匂いを
彷彿させるものであり
それは正に
ひと昔前の仏映画スター
アラン・ドロン(風)の香り
なのでありました…続く。

リーゼントに感謝して
また、明日。

for you…rain season 14話「ダイヤルM」後編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そして、最大のミッション
「ダイヤルM」即ち
彼女の電話番号を聞きだす事が
果たして出来るので
ありましょうか❗️

どちらかと言えば、異性との
会話に不慣れなアフリカーナ。
親に反抗し犬以外に
心を許さなかった幼少期。
色気付いた青年期は男子校…。
全ては雄と男社会で
育って来たのです。
歩んで来た道が違うのです。

丸坊主の中学生が進級し
髪を伸ばせることに
一喜一憂した高校時代。
前髪の伸びが
遅いことに業を煮やし
フローリンと云う名の
育毛液を頭皮に
ふり掛けていたあの日…。
苦労の甲斐あってか
アイパーをあてる迄に至った
最初の髪型はリーゼントでした。
その時の歓びは
云うまでもありません。
そんな青春時代を
送って来た男に電話番号GET
なる超高度な技術
ハイセンスなスペックを
学ぶ機会も時間も
有りはしないのでした…。

だけれど、チャンスは
待ってはくれません。
ぶっつけ本番の真剣勝負!
手際の良いMのレジ捌きは
見事なものです。
僕は只々間合いを
伺っておりました。
心の中で掛け声を…
(いち にいー の~さん)
今だ!の瞬間
お釣りが手渡されました。
口が開いたの同時にMの
「有難う御座いました」に
僕の「あの 電…」は
掻き消されてしまうのです。
足早に勘定場を去る
彼女の姿を目で追う他に
術がありません。

異様な髪型軍団の面々は、
笑いながらおでこに
手をあてて「あいた〜」と
ばかりに空中を仰いでおります。
僕は振りあげた拳ならぬ
「番号教えて」を言えない
ままにそのか細い声の
落し所を探すのです。
十代で学ぶべき試練なるものを
二十代中盤で体感する
悲しきアフリカーナ。
遅すぎた思春期…。
青くて苦い失敗でありました。

大人の酒場 三宿。
店の階段を降りれば、
この街にも
雨の匂いを含んだ風が
吹いていました。
それは、夏を迎えるための
長い梅雨前線の
到来でありました…続く。

青い体験に感謝して
また、明日。

for you…rain season 13話「ダイヤルM」中編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんなことに時間を割きながら
今日もMの電話番号を
聞きだせない異様な髪型軍団の
夜は過ぎて行きました。
「ダイヤルM」
ミッション イン ポッシブルの
遂行までには、暫くの時間と
少しばかりの勇気を
必要とするのでした。

チャンスは突然に!
いつものように
一頻り呑んだ我ら軍団は、
お会計に向かいます。
そのレジ打ち つまりは、
勘定場にMの姿がありました。
皆一様に顔を見合わせ
絶好の機会とばかりに
僕の顔を伺っております。
異様な風貌の割に
あがり症のアフリカーナ。
人間…意識すると
どうもにもいけません。
ゼンマイ仕掛けの機会的な
手足の動作と胸を押さえ
付けられたような圧迫感。

そんな僕は、
自然に財布を取り出し
さりげなく支払いを
済ませられるのでしょうか?
それだけでも
高い壁であるようです。
そして、最大のミッション
「ダイヤルM」即ち
彼女の電話番号を聞きだす事が
果たして出来るので
ありましょうか❗️…続く。

チャンスに感謝して
また、明日。

for you…rain season 12話「ダイヤルM」前編

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんな僕の最初のMissionは、
ダイヤルMをまわせ!ならぬ
「Mの電話番号を聞きだせ!」
でありました。

【M_1電話番号GET作戦…】
携帯電話並びにスマートフォン
など無い時代。
当然、現代のようなSNSなど
発展を遂げてはおらず
「LINE教えて〜」的な
軽い乗りで聞き出せる
代物ではありません。
自宅なのです。固定式です。
東京03なのであります。
全てはNTTが
支配していたのです!
それは其れは、
高いハードルでありました。

皆一様に口を
揃えて言いました。
「彼女は無理だよ…
…違い過ぎる」続けて
揶揄うように
メンバーのひとり
巨漢の持ち主が、
図太い声をあげながら
「その髪型じゃね〜」と
笑います。モヒカンに
言われたくはありません。

次にスキンヘッドの
ハードロッカーが、
「ファッションのセンスがね」
などと吐かします。
夏でもライダースの革ジャンを
着ている男に
言われたくはありません。
僕にしてみたら
その肩にあしらった
金属の突起物!
「それで何を…
刺したいのですか?」と
言いたくなるくらいです。
暑苦しくてなりません。
却下です。

そして、ダンサーである
ドレッドヘアーの彼。
「裸ですか?」と
訪ねたいくらい
服を着ているにも拘らず
肌の露出度が何気に多い
筋肉マンが、
トドメの言葉を放ちました。
「先ずは電話番号だね〜」
大当たり、正解です。
だけれど、
当たり前と云えば当たり前。
どう聞き出すかが
肝心なのです。

そんなことに時間を
割きながら今日も
Mの電話番号を聞きだせない
異様な髪型軍団の夜は
過ぎて行きました。
「ダイヤルM」
ミッション イン ポッシブルの
遂行までには、暫くの時間と
少しばかりの勇気を
必要とするのでした…続く。

異様な髪型軍団に感謝して
また、明日。

for you…rain season 11話「Mission」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
「打ち上げ何処に行く?」
の号令一下!リハを終え
我らが向った先は、紛れもなく
強いアルコールが多数存在する
メキシコ料理店を置いて
他に無いのでありました…。

国道246号線三宿の交差点。
進行方向を三軒茶屋とし
左に曲がれば
彼女Mが住む下馬方面に
行くことが出来ます。
その道路沿いの並木道には、
三宿の街を象徴するかの
ように お洒落な店舗が
軒を連ね賑わいを見せており
ZESTの姉妹店でもある
イタリア料理店ラ・ボエムも
その並びにありました。
後にそこは、もう一つの
想いでの場となります。

だけれど、そこに至るまでに
何度もの試練を乗り越えなく
てはなりませんでした…。
そんな事など知る由もない
憐れなアフリカーナは、
自身の音楽活動に邁進し
その身に付ける衣装も
エスカレートする一方で
どんどんと薄汚れて
行くのでした…。

あの頃を振り返るたびに
思うのです。
上京して数年…。
誰もやっていない新しい音楽を!
それを目指して
しゃかりきだった時代。
そんな自分を俯瞰で見る余裕が
無かったようです。
少しだけ思い込みの強い僕は、
音楽と同様 三宿のMにも
のめり込んでいく事になります。
こっぴどく振られ
これでもかってくらいに
叩きのめされることも知らずに…。

そんな僕の最初のMissionは、
ダイヤルMをまわせ!ならぬ
「Mの電話番号を聞きだせ!」
でありました…続く。

夢に感謝して
また、明日。