Jazz drummer Esen〜イーセン

聞こえてますか?
昨日の続き…。
あの頃の僕は、二十五歳。
この世界に飛び込んだばかりの
新人でありました。

2017年 東京目黒。
十数年振りにおこなった
僕の単独Liveに
彼の姿はありました。
観終わった彼は、
自身のビッグバンド
ザ・ヒットパレーズの
ゲストで歌わないか?と
声をかけてくれました。
興奮を隠しきれません。
何より彼ともう一度
同じステージに立てることを
嬉しく思うのでした。

「おもろいな〜」
関西弁の元バンマス
(Band master)も
加わり打ち上げの席に
花が咲きます。
それはもう歌舞伎町時代の
同窓会のようでありました。
Jazz drummerとの出会いも
その陽気な関西弁のバンマスが
居たからに他なりません。

「やっぱり音楽はええなぁ〜」
異なる職種で生業を得ている
元バンマスの言葉は、
懐かしさと何処か遠い憧れの
ようなものを滲ませていました。

Live打ち上げならぬ
歌舞伎町時代の同窓会は、
朝方まで続きます。
やはりBandmanは、
どこまで行っても
「酒」でありました…続く。

関西弁のバンマスに感謝して
また、明日。

Jazz drummer Dsen〜デェーセン

聞こえてますか?
昨日の続き…。
それから暫くして
僕もその世界で彼と再会する
ことになります。
歌舞伎町時代から
四年後のことでした。

1996年 新潟。
♪Lovin’youの楽曲で
知られる横山輝一。
そのツアーメンバーとして
同行していたのが彼でした。
音楽イベント
その打ち上げ会場で
僕たちは、再会を果たします。
やっと来たか!
と言わんばかりに
彼は喜んでくれました。
会っていない月日など
僕たちには
関係のないことでした。
まだ音楽を続けている。
それだけで充分でありました。
新潟の夜は、
あの日、門出を祝った
歌舞伎町のそれに似ていました。
明け方まで
飲み明かしたことを
昨日のことのように
覚えています。

あの頃の僕は、二十五歳。
この世界に飛び込んだばかりの
新人でありました…続く。

再会に感謝して
また、明日。

Jazz drummer Csen〜ツェーセン

聞こえてますか?
「先に行っているから
後で来いよ」
彼はそう言い残して
メジャーの世界に行きました。

新宿CLUBのバンドマンとして
共に働いていた彼は、
音楽の先輩であり
歌手として駆け出しだった
僕を見守る兄のような
存在でもありました。
情熱的で繊細さを持ち合わせた
彼のdramは、
歌舞伎町の地下にあった
CLUBサブリナを魅了します。
お店の事情で制限された
音のボリューム。
だけれど、
彼が繰り出す音の数々を
抑えつけることなど出来ません。
ひとの心を揺さぶる音色は、
どんな場所であれFree!
なのでした。
彼のメジャーデビューのお祝いで
送り出した歌舞伎町の宴。
寂しさを感じつつも
早くその背中に続きたい…
そう強く心に誓ったのでした。

それから暫くして
僕も彼と同じ世界で
再会を果たすことになります。
その歌舞伎町の時代から
四年後のことでした…続く。

Jazz drummerに感謝して
また、明日。

 

熱唱時代~小学校編「卒業」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
後に彼は、
何処かへ転任してしまいます。
彼と過ごしたのは、
小学四年生の
僅か一年間のことでした。

2015年 東京。
「オォ~レンジのぉ〜」
点けっぱなしのテレビから
懐かしいメロディーが
聴こえました…。

その時の僕は、
新しいALBUM制作のため
頭の中の少ない
皺というシワを総動員して
制作にあたっていました。
コーラスアレンジに
煮詰まった僕は、
テレビを点けて
洗濯機のある庭へと出たのです。
三種の神器から数えて何年に
なるのでしょう。
全自動で脱水までを終えた
洗濯物を取り込んでいる時に
それは聴こえました。

♪オォ~レンジのぉ〜
聞覚えのあるフレーズです。
洗濯物もそのままに
僕は部屋へと戻ります。
思い出すのに
そう時間はいりませんでした。
二番のサビが流れます。
確かにあの鼻歌に似ています。
だけどメロディーラインが
少し違っているようです。
キーも谷吉どんが歌う
それとはかけ離れています。

あれから三十年、
あの鼻歌が昭和の御三家と
言われた歌手の唄だった
事を知ります。
谷吉どんは、
♪オレンジの雨という
曲を元に自分なりに
アレンジしていました。
道理で今の今まで
気づかない筈です。
これで合点がいきました。

だけれど、
僕にとってのオリジナルは
野口五郎ではありません。
譜割りも違えばキーさえ違う
そんな調子を外した
谷吉どんが歌う♪オレンジの雨
でありました…おしまい。

恩師に感謝して
また、明日。

熱唱時代~小学校編「三学期」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
そんな生徒たちの唄を聴きながら
谷吉どんは、
満足そうに煙草に火を付けて、
「オォ~レンジのぉ〜」と一節
鼻歌を口遊ぶのでした。

ただ、その先は歌いません。
おそらく、
疎覚えだったのですね…。
だから、何の唄なのか
さっぱりわかりません。
それは何かと尋ねても
その口髭をVの字に曲げ
ニャリと笑うだけで
答えてはくれません。
人に歌わせておいて
自分はコレです。
何とも勝手で
生粋の自由人でありました。

そんな彼の事ですから
当然、PTAや同僚の先生方と
反りが合う筈がありません。
周りの陰口どこ吹く風か、
くわえ煙草で プッカプッカ。
鼻歌を口遊みながら
職員室までの廊下を
闊歩する谷吉どん。

後に彼は、
何処かへ転任してしまいます。
谷吉どんと過ごしたのは、
小学四年生の
僅か一年間のことでした…続く。

思い出に感謝して
また、明日。

【熱唱時代~小学校編】「二学期」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
今日は気分が乗らないと思えば、
授業を中断して
大好きな歌謡大会を
始めたりします。
本来彼が立つ筈の教壇に
僕らを指名して歌わせるのです。
生徒が歌い終わると、
ニヤリとその口髭をVの字に曲げて
「オォ~レンジのぉ〜」と
鼻歌を一節。
何とも不思議で掴み所のない
変な先生であるのです。

谷吉どんがいうところの
歌謡大会とは、
1970年から1980年代にかけての
歌謡曲をさしていました。
その当時の日本の音楽シーンは、
夜のヒットスタジオや
ザ・ベストテンなどの音楽番組が
お茶の間を賑わしていた時代で
放送日の翌日には、
その話題で持ちきりになる
ほどの人気でありました。
寺尾聰の♪ルビーの指輪
もんた&ブラザーズの
♪ダンスシング・オールナイト
ジュリーのTOKIO!
この章タイトル熱唱時代ならぬ
本家「熱中時代」の主題歌は、
原田潤が歌う
♪僕の先生はフィーバー
刑事編では水谷豊自ら歌った
♪カリフォルニアコネクション
昭和の名曲の数々です。

谷吉どんは、そんな歌謡ショーを
再現するかのように
木造二階建ての
使い古された教壇を
ヒットスタジオへと変えました。
田原俊彦の♪哀愁デート
松田聖子の♪青い珊瑚礁などの
ヒット曲をみなが歌う中
僕は、岸田敏志の「君の朝」
を選曲します。
少し地味だけれど
憂いのある楽曲が
僕の好みでした。
何よりその唄のサビが
お気に入りでありました。
♪モーニング モーニング
君の朝だよ
モーニング モーニング
君の朝だよ
そんな生徒たちの唄を聴きながら
谷吉どんは、満足そうに
煙草に火を付けて
「オォ~レンジのぉ〜」と一節
鼻歌を口遊ぶのでした…続く。

色褪せない歌に感謝して
また、明日。

熱唱時代~小学校編「一学期」

聞こえてますか?
今日はとある先生の話。
どの世界にもある愛称や通り名。
僕が通った小学校でも
親しさの表現方法として
存在していました。
四年生にあがった僕らは、
担任の先生になった彼の事を
愛情を込めて「谷吉どん 」
そう呼んでいました。

彼は一風変わった教育者で
授業中くわえ煙草で
プッカプッカ。
給食時間にも関わらず
プッカプッカ。
本来担任の先生も生徒と同じ
食事を摂る習わしなのに
彼には通じません。
持参した弁当を食べながら、
「パンはすかん!」と一暼。
翻訳
(パンは嫌いだ!)
こよなくお米を愛する谷吉どん。

今日は気分が乗らないと思えば、
授業を中断して
大好きな歌謡大会を
始めたりもします。
本来彼がいる筈の教壇に
僕らを立たせて歌わせるのです。
生徒が歌い終わると、
ニヤリとその口髭をVの字に曲げて
「オォ~レンジのぉ〜」と
満足気に鼻歌を一節 。
何とも不思議で掴み所のない
変な先生であるのでした…続く。

変な先生に感謝して
また、明日。

厚木のトラック野郎全11話その結び 「結婚式」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
一番星に尋ねます。
もう一度居候をしていいかと。
彼の答えは、
「あれは俺の
人生最大一生の不覚!」で
ありました。

1997年 冬。
似合わないスーツを着た
一番星は、
緊張を隠しきれずに
花嫁の横で
ちょこんとなって座っています。
今日は、二人の結婚式。

トラックを転がす彼は、
其れはそれは逞しく
そのどっしりとした
体躯に恥じぬ落ち着きと
安心感を与えてくれていました。
それがどうでしょう。
そこにいる一番星は、
母親に連れられた子供のように
小さく見えてしまいます。

それに比べて彼の花嫁は、
世界中の幸せを
一身に集めたかのように
堂々としています。
今日の主役は、
一番星ではありません。
紛れもなく花嫁でした。
とても綺麗でした。
僕は二人のために
ジョーコッカーの
♪You are so beautifulを
歌います。

アル・パチーノ主演の映画
カリートの道の主題歌で
ラストシーンから
エンドロールにかけて流れる
それは、
とても美しいものでした。
南国の砂浜で踊る
ひとりの女性。
曲が進むにつれて
ひとりまたひとりと
子供たちが登場してゆきます。
海に沈む夕日が
その家族のシルエットだけを
描きだしていました。
僕は二人にその曲を贈りました。
それは、嫁いでゆく
花嫁にぴったりの歌だと
心から思ったからでした。

2017年7月
一番星夫婦は、花を持って
僕のLIVEに来てくれました。
そして、
リクエストします。
あの曲を歌って欲しいと。
僕は、応えます。
アンコールに選んだ最後の曲は、
二十年振りに歌う
You are so beautiful
でした…おしまい。

一番星とその家族に感謝して
また、明日。

 

厚木のトラック野郎 全11話その10 「一番星の嫁」

聞こえてますか?
昨日の続き…。
まだ二十代だった僕らは、
遊ぶことも笑うことも
何もかもが
必死で本気だった。
そう思えてなりません。

そんな細かい九州男児の
一番星にも嫁さんが出来ました。
余計なお世話!と
あのレンジの高い声が
聞こえて来そうです。
大丈夫です。
もう居候の身の上では
ありません。
民主主義です。
発言は自由なのです。
その頃の僕は、
レコード会社に所属し
庶民権の座を面の皮一枚で
ギリギリ保っていました。
1997年のカレンダーも
僅かなページを残すのみで
その掲載された写真には
雪が舞っていました。

一番星の嫁さんは、
出来た女性で
一歩下がり夫を立てるという
九州男児の嫁のお約束を
地で行くひとでした。
僕と空回りの男は、
そんな彼女を見ながら
舌を巻いてしまいます。
甲斐甲斐しく
当時のアパートに通う
彼女を知っているからです。

そんなことは当たり前と
言わんばかりに
お掃除 お料理 お洗濯
独身男性が夢見る
三大行事を見事にこなします。
至れり尽くせりであります。
しかも関東に住む
都会のお嬢さんです。
亭主関白な男に
そこまで尽くす女性を
肥後ノ国でさえ
希少なものでありました。
何よりその持て成す
料理の数々が絶品でどれも
美味しいものばかりでした。

一番星に尋ねます。
もう一度居候をしていいかと。
彼の答えは、
「あれは俺の
人生最大一生の不覚!」
で ありました…続く。

一番星の嫁さんに感謝して
また、明日。

厚木のトラック野郎 全11話その9 「帰って来た空回りの男」

聞こえてますか?
今日は、あなたも知っている
あの男が主役です。
昨日の続き…。
「中学の友達は一生もの…」
以前 ブログに記した
向山のボス猿の父親が
諭すように言ったことを
酔った彼は必ず
口にするのでした。

昨夜の梯子酒はどこ吹く風か。
一番星に
二日酔いなどありません。
日曜日は、お昼から向かい酒。
新たな仲間も加わり
中津川の河川敷で
BBQ大会が始まります。
今も昔も変わらず
女の子が加われば
場に花が咲き盛り上がるのが
世の常であります。
空回りの男の出番です!

彼は喜ばせようと
いつもの様にひょげ倒します。
男女7人高円寺の事はいざ知らず
この厚木の地であっても
失笑です。
やはりそれは、古今東西津々浦々
どこを探しても
例外はないようです。
日本全国共通の理り…。
残念です。

だけどそれで治る
空回りではありません。
当時人気を博したハリウッド映画
ターミネーター2の
テーマ曲を口遊びながら…。
♪ダッダッ ダッ ダダ×2
笑わなかった者たちを
片っ端から川へと導き
なぎ倒してゆきます。

ガタイの良い(がっちりした体)
彼は長身であり
怪力の持ち主でもありました。
何より顔のデカさといったら
ターミネーター顔負け
であります。
最初のターゲットは、
一番星でした。
軽々と抱えられ水の中へ。
♪ダッダッ ダッ ダダ×2
僕の番です。
目を合わせてはなりません。
俄然調子に乗らせてしまいます。
無駄でした。
僕も一番星の後を追うように
中津川へ放り込まれます。
迷惑です。

盛り上がったと
勘違いした空回りは、
更にギアーを
トップにあげました。
女の子に狙いを定めます。
愚かです。
もうここまで来たら独壇場。
何人たりとも
彼を止める事など出来ません。
最終的に
一番星の同僚及び
参加した全員が、
空回りの男の餌食となり
水に濡れながらの
BBQとなってしまいました。

まだ二十代だった僕たちは、
遊ぶことも笑うことも
何もかもが必死で本気でした。
そう思えてならないのです…続く。

あの頃に感謝して
また、明日。