聞こえてますか?アーカイブ 畦道とハイヒール 総集編 1 「宇宙人」episode1

聞こえてますか?
あなたは、
まるで宇宙人のような人でした…。
1975年 肥後ノ国
天草の玄関口
三角港から渡し舟でゆく島。
みかん畑が連なる山々と
北に広がる有明海。
南には、不知火海を臨む
その島のことを人々は
戸馳島と呼んでいます。
そこに住む人たちは、
長閑な自然と寄り添い
暮らしていました。
そんな島の景観に
逆向するかの如く
舟着場までの畦道を
颯爽と闊歩する
ひとりの女性がいました。

今にも折れそうな
真っ赤なハイヒールの靴を
履いたあなたは、
今日も僕の手を引きながら
買い物へ出掛けます。
顔の三倍はあろうか
アフロばりの
そのくるくるパーマは、
「スズメの巣ですか?」
と言いたくなる代物で、
決して風になびくことのない
その金色の髪の毛は
乾いた紙粘土のようでも
ありました…。

「告白」episode2

聞こえてますか?
シルビヴィ・バルタンを
好んで聴いていたあなたは、
なんちゃってパリジェンヌ。
メイクひとつにしても
丹念に仕上げます。
何処を真似て何を間違ったのか
何もそこまでしなくても!
と云うくらい塗り重ねた
白いキャンパスに
あなたは、
ルージュを引きました。
まるで、まんが日本昔ばなし
に登場する
お公家さまのようです。
幼い頃の僕は、
そんなあなたが少しいやでした…。
島の住民にそのような
風変わりな女性は、
ひとりもいませんでした。

TPOを完全に度外視した
あなたの出で立ちは、
当時 お茶の間を賑わした
地球外生命体
エイリアンに違いないと
子供ながらに
疑ったものでした…続く。

二十六歳のあなたに感謝して
また、明日。